ソナタな真琴〜。
あんまり、気の載らない一日の始まりは、祐一の布団の中。
本人無許可で今日も昼間まで侵入、侵入……。
休み、は退屈だ。
祐一はあたしのおいろけ攻撃なんてちーっとも乗ってこないしさぁ、
あゆのバカは何だか遊びにいっちゃたし……。
テレビで言ってたっけ、最近のはやりは癒しけー、うぐぅなあゆはまったくそれだ。
名雪お姉ちゃんは、癒し? ううんっ、あれは天然結晶体ね。
寝て、寝て、寝て……せっかくの休みを昼過ぎまで怠惰に過す。
ばっかみたい。
っていうのは名雪お姉ちゃんには秘密だ。
それ言ったらこの前夜ご飯、たいやきにされた。
下に下りる。 フワッと広がる甘いマーガリンとジャムの匂い。
今日はイチゴジャムだろうか? しめしめ、名雪お姉ちゃんの分ももらっちゃおう。
「おはよう、真琴、休みなのに早起きなんて、偉いわね」
「あぅ〜、でも、早起きは三文の徳なのよぅ」
「真琴、あいさつはしっかりしましょうね」
「あっ……おはよう、あ・・・お母さん」
やっぱり照れる。
「あらあら、――、すぐ、ご飯食べる?」
「うんっ」
秋子さんはすぐにキッチンへ向った。
あたしはジャムを確認、椅子に座ると、ジャムを食す。
「名雪の分残しておいてくださいね」
「ふぁ〜い」
残すものか。 甘くておいしい秋おっと、お母さんのジャムは一部を除いてあたしは大好き。
だから、名雪お姉ちゃんにはあげない。
ぜーんぶあたしのものなんだから!!
秋子さんの視線を見計らって、ありったけのジャムを…・・・ゴー。
ムシャ……ムシャ……。 凄い世界。 栞に借りたあまあま少女漫画のラストシーンでも
ここまで砂吐くようなムードにはなれないだろう。
あたしは砂糖とイチゴ、それとお母さんの食パンで腹を膨らませた。
「あっ」
「……」
「あらあら――」
名雪お姉ちゃん、お早い起床。 空っぽのまだ赤味のある瓶。
いつもの3倍増しの笑顔の名雪お姉ちゃん。
困った顔して静観する秋子さん。
かわいく膨れた真琴のお腹。
ぷんぷん漂うイチゴジャムの香り。 近づいてくる名雪お姉ちゃん。
「口、赤いよ」
ちゅ・・・
「あらあら……」
ぺロッ。
「ごちそうさま」
「あぅ〜、お、お粗末様」
目、目が点になるってこういうことだったんだー。
あはは〜、は佐有理さんの口癖。
でも使いたくなる。
「スキンシップって大事だよ?」
「全然、」
顔が熱い。
ぴゅーっとあたしは洗面台へ駆け込んだ。
「はぁ、はぁ、なななに考えてるのよぅ……」
あたしのファーストキスがぁ……。
この日、あたしの、初チュウはあの人と計画は瓦解した。
「と、いうことがあったのよぅ」
「わっ、名雪さんやりますねぇ。 でも、そういうのって天野さんに報告、いいんですか?」
「あっ、大丈夫! 美汐にはあとで話すから――それより」
「……はいっ、そうですね」
何だか、退屈になって外にでた。
朝の話しを美汐にしようと思って噴水の前まで来たんだけど、栞が何やらスケッチしているみたい。
風景? 人物? 真琴には到底理解できない、こういうのを現代美術、っていうのね、
うんっ、この前、祐一に聞いたから予習は完璧。
――そこで、あたしは生まれて初めてモデル、
を依頼された。
「真琴さん、動かないで下さいね。 一歩でも動けば世界は転変しますから」
「う、うんっ」
栞はシュッ、シュッってキャンパスに筆を走らせた。
ううん、何ていうか芸術家みたいで妙になまいき。
それに座っているだけっていうのはやっぱり退屈よぅ……。
「真琴さん!!」
「あっ、あぅ!」
お、怒ることないじゃない。
「むすっ、とした顔も写しちゃいますよ、ほらっ、真琴さん、スマイル、スマイル」
「わ、分かってるわよっ!」
下手だったら承知しないんだから!!
栞は色付けに入ったみたい。 使っている色は、赤、緑、黒が中心……。
「 できましたっ! 渾身の一作です……」
芸術って難しいすぎる。
「どうです?」
「あう、よく出来てる、と思う」
「――えぅ〜、他に言う事はないんですか?」
「だってわかんないのよぅ」
「むっ、そんなことないです、ほら、この辺なんてどうです?」
と、言われても、……黒いだけにか見えないし。
「す、すごく黒い」
「えっ? そこ噴水ですよ?」
「あぅ――じゃあすんごく、すんごく群青」
「むーっ、真琴さんには指導が必要ですね、ちょっと家に来てもらえますか?」
「だ、ダメ、これから美汐の家に遊びに行くんだからっ!」
「えぅ……、真琴さん、わたしとは遊びだったんですね、ひどいです、ぐすんっ」
し、知らないわよ……、何で遊びで絵を描いてもらったのになかれなきゃいけないの!
まったく、栞ったらマンガの見過ぎね。
だってこれ、この前発売された”乙女の世界”3巻の初版限定の読みきりのネタと被ってるもの!
「――、かける言葉もないんですか?」
「あぅ〜」
「誤魔化してもだめです」
「わたしはすっごく傷ついたんです」
「どうして、誤魔化すんですか?」
それは、栞が――
「昼間っからなにやってるんだ? お前ら」
祐一だ。
「あっ、みごとな地獄絵図じゃないか、相変わらずだな、栞――と、真琴、あゆが呼んでたぞ」
「えっ、あゆが?」
あたしを呼ぶのに祐一を使うなんてあゆ生意気。
「まっ、そういうことだ、栞、達者でな」
ガシッ
「祐一さん、私の絵の感想、もう一度、言っていただけますか?」
「はっ?」
「あっ、真琴さんはもういいです、じゃあ、また、モデルお願いしますねー」
「っ、な、これ、真琴なのかっ!?」・・・とかいう祐一のきょーがくじみた声がしたけど気にしない。
あたしは家に向った。
玄関であゆが待っていた。
「真琴ちゃん、お帰りっ!」
「何? くだらない要で呼んだんだったらただじゃ済まさないわよ!」
「うぐぅ……」
「あゆ、?」
「えいっ!!」
ちゅっ・・・。
「ななな何するのよぅ!!!」
「な、名雪さんなんかには負けないよっ!!
聞いたんだよ、見たんだよ、名雪さんとチュウなんてズルイや!
ボクだって真琴ちゃんのことが好きなんだからっ!!」
う、な、何なの? あゆが、あゆが壊れた!?
「真琴ちゃん、その……」
「あううううううううううっ!!!!!」
あとがき。
なんなんでしょう、このSSは。
なーんとなく書いたSSです。はい。
お目汚し。 お目汚し……。
しかし2万ヒット記念SSです。 正直びびってます。
なんでこんなサイトが3ヶ月足らずで2万ヒット?
って感じです。感謝御礼です!
ではっ。
感想もらえると嬉しいです