カノエア!
   第3話


 進入禁止! と部屋の前に貼っておいた。

 これで観鈴は来れまい。

 暗室に篭った俺はふふふっとちょっと怪しげなハモリを入れながら一人現像作業を行っていた。

 もちろん真琴のゴスロリ写真のな。

 20分あれば、とどこぞやの店が言っていたが俺の親父は10分でそれをやっていた。

 「キチ狂いだからなあの親父は……」

 その技術云々というか機械を親父に邪魔だから、と預かっていた。
 
 物置の奥に仕舞って置いた代物だが、まぁ、大丈夫だろ。


 

……出来てしまった。ジャスト10分。

 さて、出来栄えは……? うむっ、さすがラ○カだ。

 
 ガチャ

 「えっ?」

 「にはは、真琴ちゃんかわいい」

 「っ!? 観、観鈴っ?」

 ば、馬鹿な……。”進入禁止”って貼っておいたはずだぞ?

 「ねえねえ、 祐一さん、これ、わたしも欲しいな」

 「……だめだ」

 「なんで?」

 こいつも、こいつも天野と同類かっ!?

 「祐一さん、お客さんを待たせるのは悪いと思うな」
 
 「何っ」

 「天野さんが玄関で待ってます」

 「は、早すぎだっ! 天野っ!!」

 まだ、アルバムにいれてねぇっ、くそっ、これが愛? の力か?
 
 俺は手短にあった軍手をはめ、アルバム封入という、 地味な作業に取り掛かった。







 「待たせたな、天野」

 一応、客だ。 しかも商談の。 観鈴に頼んでリビングに案内しておいた。

 茶ぐらい出そうと思ったが俺はキッチン周りはあんまり捜索したことないのでやめとく。

 「ふふっ、相沢さん。真琴の成長ダイアリーの1ページが新たに刻まれるんです。
  おちおちお茶なんか啜ってる暇はありませんよ」

 「――しゅ、殊勝だな」

 冷や汗ものだ。

 天野の顔はまぁ、ホント、可愛すぎる妹のソレを確かめる姿。

 でも、義理だぞ? 心底まずい道に進まない事を願う。

 「と、これだ。ちゃんとアルバムに納めてきた。番号さえ指定してくれれば夕方には
 宅配しよう。 俺が」

 「――では、拝見させていただきます」

 商談のコツは見出しだ。一枚目が死んでたらそれこそオジャン。

 ちなみに一枚目は恥らう真琴002だった。

 「――――、」
 
 おっ、固まった。

  

 「ねぇ、祐一さん?」
 
 「なんだ、観鈴」

 「祐一さんってああいう格好好きなの?」

 「バカいえ、俺にそんな趣味はないさ。 それより、案内なんだが、
 この後、すぐ行くか?」

 「にはは、うんっ。 どこに連れてってくれるの?」

 「…………」
 
  っと言ってもこの町で一番の主要な場所といったら……、 百花屋だろ。




 

 で、俺と観鈴は商店街に来た。 事の成り行きから天野も一緒だ。

 「なぁ、天野」

 「なんですか?」

 「お前、真琴以外に友達いないのか?」

 考えればそうだろう。 天野が俺達についてきた理由は暇だからだったのだ。

 「栞さんをお忘れでは?」

 「なるほど。で、なんで栞と遊ばないんだ?」

 「はぁ、栞さんは今日お姉さんと買い物だって携帯にメールを5通ほど送っていきました」

 「半ば、迷惑メールだな、そりゃ」

 「ええっ、しかも今だ継続中です」

 「…………」
 
 そういえば、真琴、最近、天野が肉まん一緒に食べてくれないって嘆いてたっけな――。

 商店街をぶらぶら歩き、次いでだから昼飯も家で食べよう、という事になった。

 ちなみに観鈴と天野が担当だ。

 観鈴は昨日の晩飯で美味しいことが解っていたし、天野も以前ものみの丘に真琴に連行されたとき、

 その弁当を舌鼓した。 期待度100パーだな。

 

 

 「――――」

 「美鈴?」

 突然、俺の横を歩いていた観鈴の足がストップした。

 「どうかしたか?」

 「な、何でもないです」
 
 「はっ?」

 ショーウインドウ越しにかわいらしいトリケラトプスの人形が置かれている。

 うまく誤魔化しているつもりなのだろうか。 
 
 それを何度か眺めた後、観鈴は足早に前進した。

 「………」

 「相沢さん、何ぼうっとしてるんですか? 観鈴ちゃん先言っちゃいますよ」

 「あっ、そうだな……。じゃ、いくか、……って天野だって栞にメール打ってんじゃないか」

 「ええっ、社交儀礼ですので。…… ふふっ、楽しみです」

 なんかすっごく寒気がしたが、まぁいい。

 俺は先行く観鈴の後を追った。



第4話


あとがき

 このSS、携帯が日常的ですが、気になさらないで下さい。
 次回は美坂姉妹登場。
 栞は祐一ラブって設定です。 
  ちなみに更新未定。

 
 感想いただけると嬉しいです。

  

 
 
 とっぷ